不動産トレンド
フィリピンについて

フィリピンは、7,000以上の島々で構成された西太平洋にある熱帯の国です。年平均気温は26~27℃。6~11月が雨期、12~5月が乾期と分かれていますが、1年を通じて大きな気候の変化はありません。マレー系の民族が主体で、次に中国系やスペイン系の民族がおり、公用語は、フィリピノ語の他に、英語が使われています。公用語として英語が使用されていることや物価が日本と比較して安いため、旅行だけでなく、英語の語学留学や海外移住先としても近年人気です。治安は、夜間の外出やメインストリートから外れた通りは避ける、スリや置き引きなどには注意するといったことが必要なものの、日中は安心して出歩くことができます。
経済面では、一人当たりGDP成長率は2020年のコロナ禍でマイナスになったものの、翌年にはコロナ前の約6%まで戻り、他のマレーシアや日本と比較しても、回復の速さと安定性が共に高いことがうかがえます。フィリピンの平均年齢は24歳と、日本の平均年齢49歳と比べても若く、更なる経済成長が見込める国の1つとなっています。
*データソース:THE WORLD BANK
●人口増加ボーナスによる高成長期(人口推移予測)
*データソース:https://population.un.org/wpp/
●一人当たりGDP成長率(年間%)*データソース:https://data.worldbank.org/
不動産マーケット
フィリピン不動産の価格推移ですが、年々漸増傾向で、近年では、政治の安定化や政府の積極的な外国資本誘致が進展し、人口増加や国民所得の向上に伴い不動産需要が拡大、今後も価格上昇が予想され、投資家層から有望な海外資産分散先として注目を集めています。外国人投資家から注目を集めている背景として「東南アジア各国と比較しても投資しやすい不動産価格」、「高いインカムゲイン」、「外国人が投資しやすい環境であること」が挙げられます。
まず不動産価格についてですが、フィリピン経済の中心地マカティのコンドミニアムのm²単価は、東京都心のマンションと比べて、1/3程度*となっています。投資しやすい不動産価格であるものの、物件のクオリティは高く、24時間ガードマン常駐のセキュリティやプールやジムが完備されているのが一般的で、中にはシアタールームやバー、ゴルフの練習スペースなどを備えていたり、下層階にショッピングモールが併設されている物件も珍しくありません。
また利回りについてですが、マニラ首都圏の平均表面利回りは、5.41%(2024年7月時点)となっています。この利回りの背景としては、マニラ首都圏やセブ島での人口増加、富裕層・中間層の核家族化に伴う世帯数の拡大、ビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)企業で働くフィリピン人や、中国系企業の雇用増加による不動産需要の急速な拡大が挙げられます。また、マカティやボニファシオ・グローバルシティ(BGC)などの主要エリアでは、開発用地が乏しくなっていることから、今後は新規の物件供給が限られてくる見通しで、より貸し手に優位な市場となっていくことが予想されます。
人口減少・経済停滞が続き、賃貸住宅の空室率が20%程度と高い水準にある日本とは対照的で、フィリピンでは人口増加・高成長が生み出す好環境がアジア各国の中でも高い賃貸利回りに繋がっています。そしてフィリピンは、マレーシアなどと違い「外国人の不動産購入に対する物件価格面での規制がないこと」、そして「特徴的な売買代金の支払いスキーム」の点から、外国人が投資しやすい環境を生んでいます。外国人の不動産購入はコンドミニアム(オフィス含む)やタウンハウスに限られますが、物件価格面での制約がないことから、比較的高い賃貸利回りが期待できる物件を低価格にて購入できる為、1ユニットだけではなくワンフロア分を購入し、安定的な実需が見込める地元層から家賃収入を得るという投資方法も可能です。そして、プレビルド(完成前物件)を購入する場合、物件により異なりますが、頭金(購入代金の0%~20%程度)以降は、竣工までの期間、毎月分割(金利不要が一般的)などいくつかある支払いスケジュールから選択が可能です。最初に支払う頭金が多いほど、物件価格の割引率が高くなるため、投資する時点のキャッシュフローに応じた支払い計画を立てることが必要です。
以上の各背景、今後の不動産マーケットの期待要素からも、フィリピンは今後も有望な海外資産分散先として注目されていくと予想されます。
*データソース:global property guide
各エリアの特徴

- マカティ
- フィリピンの首都マニラの南東に位置し、フィリピンの財閥の一つである「アヤラコーポレーション」が開発したエリアで、マニラ内でも、比較的治安が良く、数多くのグローバル企業や金融機関が集まる「フィリピンのウォール街」と呼ばれる経済の中心地です。ショッピングエリアとしても有名で、中心部のアヤラ・センターには、マカティ最大のショッピングモール等、世界中のブランドショップやハイクラスホテルが軒を連ねています。また、外国人駐在員を中心に高級コンドミニアムの需要が高くなっています。日本人駐在員も多く、日本食材が手に入るスーパーマーケットもあり、駐在する場合の第一候補としてマカティを選ばれる方も多いそうです。日本からは、マニラまで直行便で約5時間の飛行時間で到着します。マニラの空の玄関口、ニノイ・アキノ国際空港(マニラ国際空港)からは車や電車で約30分でアクセスが可能です。

- ボニファシオ・グローバルシティ(BGC)
- マカティから南東に約11km(車で約30分)に位置するボニファシオ・グローバルシティ(BGC)は、広大なフィリピン軍駐屯地を再開発し、欧米系の駐在員家族や地元の富裕層をターゲットにした、緑が多く整然とした美しい町並みが特徴の近未来都市です。電線の地下埋設や地下の巨大な貯水槽など洪水対策も講じているエリアです。ハイクラスホテルの開業やフィリピン証券取引所の移転などもあり、成長が期待されているエリアのひとつです。おしゃれなショッピングモールや雰囲気の良いカフェが立ち並んでいる「ハイ・ストリート」など、ショッピング環境も整っています。各国の大使館や日本人学校、複数のインターナショナルスクールも集まっており、生活利便性が高く、ファミリー層に人気のエリアです。現在の移動手段は主にタクシーなどの車のみとなりますが、2029年完成を目処とする地下鉄プロジェクトが計画されており、インフラが整うことで、更に発展していく予定です。ビジネスマンやショッピングを楽しむ人達で賑わいを見せ、夜でも多くの車や人が見られるBGCは、治安がとても良く、住みやすいエリアです。

- オルティガス
- マカティから北へ車で約30分で行けるオルティガスは、マカティに次ぐビジネスの中心地であり、インフラ面もとても整備されています。フィリピンの優良企業の本社や外資系企業やハイクラスホテルが集まっており、食事やショッピングにも便利なエリアで、衣食住で困ることはまずありません。世界で4番目に大きい「SMメガモール」を始めとする5つ大きなモールがあり、ショッピングモールの中心地としても知られています。英語力を活かしたコールセンターやバックオフィス支援等、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)産業の中心地であるため、今後もコールセンターなどBPO産業の拡大によって、オフィス需要や住宅需要が一段と増すと予想されるエリアです。また、2029年完成を目処とする地下鉄が開通することで、ニノイ・アキノ国際空港から約15分と、車での移動の約半分の時間でアクセスできるようになります。

- セブ・マクタン島
- 東京からは、直行便で約4時間半、白砂ビーチとエメラルドグリーンの美しい海を求めて、世界中から観光客や留学生が来るリゾート地、セブ島は、セカンドハウスの場所として人気のあるエリアです。セブ島そのものがリゾート地ではなく、一般的に言われている「セブリゾート」とは、セブ島の隣マクタン島の事を言います。セブ島本島では、近年BPO関連のビジネスで発展を続けていることでも有名です。経済特区の「ITパーク」にはIBMやJPモルガン・チェースといったグローバル企業も数多く拠点を構えています。また、2018年7月にマクタン・セブ国際空港に新ターミナルがオープンし、国際線で20路線、国内線は30路線を結び、フィリピン第2の国際空港となりました。年間利用者800万人を超え、フィリピンの中心地にあるため、国内のどの地域へも1~2時間での移動が可能であり、フィリピンのバフ空港として、観光地、商業地域として発展を続けているエリアです。外国資本の流入に伴い、所得水準や人口も増大する傾向にあるため、住宅需要も高まっており、不動産投資の観点でも魅力的なエリアです。